医療の安心・安全
患者さんの権利と責任
すべての患者さんは個人として人格を尊重され、患者さん中心の良質の医療を受ける権利を有しています。また、医療は患者さんと医療提供者がお互いの信頼関係に基づき、協働して実践していくものであり、患者さんは自分が受ける医療に主体的に参加していただくことが必要です。医療法人博仁会は「患者さん主体の医療」を実践するために、患者さんには次の権利と責任があることを確認します。
患者さんの権利
- ① 平等に医療を受ける権利
患者さんは、社会的地位、民族、国籍、宗教、信条、性、障害の有無などに関わらず、最善の医療を平等に受ける権利があります。 - ② 十分な説明と情報を得る権利
患者さんは患者さんは、わかりやすい言葉や方法で、十分理解し納得のできるまで医療に関する説明や情報の提供を受ける権利があります。 - ③ 自己決定する権利
患者さんは、提供された情報と医療従事者の説明をよく聞き理解したうえで、自分の意志で検査や治療などの医療を受けるか受けないかを決める権利があります。別の医療機関の意見を聞きたい場合は、検査結果の提供を受けたり、紹介状の発行をしてもらうことができます。 - ④ 自分の受けた医療について知る権利
患者さんは、自分が受けた医療について知る権利があります。そのためには、十分な説明を受けることができます。必要な場合は、診療記録などを確認することもできます。 - ⑤ 個人情報が守られる権利
患者さんは、診療における個人情報を保護され、プライバシーを侵害されない権利があります。
説明と同意について
医療法人博仁会 福岡リハビリテーション病院 ※令和5年10月13日改訂
Ⅰ目的
インフォームドコンセントの目的
インフォームドコンセントは一般に「説明と同意」と訳されているが、本来は「説明を受け理解した上での同意」が正しい。すなわち医療者側は十分な説明を行い、一方患者側はそれを十分理解した上で自由意志に基づいて同意をするということが本来の意味である。
この説明と同意規程はその過程が正しく行われることによって、医療者および患者の相互理解が深まり、共通認識のもと協力して医療が行われるようになるために作成したものである。すなわち当院の基本方針にある患者・利用者中心のチームアプローチが実践されることが最終目的である。
Ⅱ対象
医療行為
ほとんどの医療行為は患者の精神および身体に何らかの侵襲を与えるものであるが、その程度は各々の医療行為によって様々である。当院ではほとんどすべての医療行為を以下のように4つのカテゴリーに分類し、カテゴリーごとに取るべき手順を定めている。各カテゴリーに含まれる医療行為は下記参照のこと
カテゴリー1
口頭の説明のみを行い、同意も口頭のみでよいもの。
侵襲がごく軽度で、従来から口頭の説明のみで同意を得ており、その手続きが社会通念上も許容されるもの。ただし、その医療行為の必要性や同意を得た旨など、必要最低限のカルテ記載は行うこと。
採血検査、尿検査、HIV抗体検査(単回実施の場合)、皮下注射、筋肉注射、静脈注射、末梢静脈路確保、直腸診、グリセリン浣腸、喀痰吸引、導尿、腟洗浄、摘便、膀胱留置カテーテル挿入、胃管挿入、胸腔穿刺、腹腔穿刺、一般レントゲン撮影、骨密度検査、心電図検査、呼吸機能検査
カテゴリー2
口頭の説明に説明文書を追加するが、同意は口頭のみでよいもの。
侵襲は軽度で重大な副作用や危険性は少ないが、患者理解を深めスムーズに施行するために、文書での説明を追加したほうがよいもの。
ホルモン検査、ブドウ糖負荷試験、カプトリル負荷試験、尿素呼気試験、ICG検査、腹部超音波検査、腹部CT検査、心臓CT検査、単純MRI検査、RI検査、腹部以外の超音波検査、腹部以外の単純CT検査、筋電図検査、神経伝達検査
カテゴリー3
口頭の説明に加えて説明書を用いて説明し、文書で同意を得るもの。
私達は患者様を我が身内と尊重し、相手の立場・家族の立場に立った、親身な看護を提供します。(看護部理念)
HIV抗体検査(複数回実施する可能性が高い場合)、上部消化管内視鏡検査、下部消化管内視鏡検査、造影CT検査、造影MRI検査、DIC-CT検査、腰椎穿刺、髄腔内注射(抗悪性腫瘍剤)
- ■検査
入院を必要とする検査 - ■処置・治療
身体拘束、体内にdeviceを留置する処置、下大静脈フィルター挿入術、スワンガンツカテーテル挿入術、体外ペースメーキング、各種内視鏡治療、イレウス管挿入術、SBチューブ挿入術、気管内挿管(救命のために緊急で施行する場合を除く)、内視鏡的胃瘻造設術、中心静脈カテーテル挿入術、ヒックマンカテーテル挿入術、CVポート造設 - ■輸血
血液製剤、血液由来製剤を使用する場合、自己血の貯血、自己血輸血 - ■麻酔
全身麻酔、硬膜外麻酔、脊椎麻酔、伝達麻酔 アレルギー歴のある患者の局所麻酔 手術に付随した麻酔については、手術についての説明時に同時に説明し同意を得ること。 麻酔科が管理するものについては、原則的に麻酔科にて単独に説明し同意を得ること。 - ■手術
気管切開術、恒久的心臓ペースメーカー植込術、手術室にて施行する手術
対象者
HIV抗体検査(複数回実施する可能性が高い場合)、上部消化管内視鏡検査、下部消化管内視鏡検査、造影CT検査、造影MRI検査、DIC-CT検査、腰椎穿刺、髄腔内注射(抗悪性腫瘍剤)
- ①患者本人が同意能力を有する成人の場合には、当然本人に説明し同意を得る。ただし、親、兄弟、子、成年親族あるいは代理人などで患者本人が指定した第三者の同席が望ましく、そのように勧めるべきである。
患者本人に本人以外への説明を望まない意志が強い場合には、その旨をカルテに明記しておく。尚その場合であっても、担当医が本人または家族等の生命、身体または財産の保護のために必要であると判断する場合であれば、家族等へ説明することは可能である(個人情報保護法第23条第1項第2号に該当)。また、同席できる適当な人物が居らず、その結果本人のみへの説明となる場合にも、その旨をカルテに明記する。 - ② 患者本人の理解力が不十分で、意思決定能力に乏しく、合理的な判断ができないと判断された場合には、親、兄弟、子、成年親族あるいは代理人などに説明し同意を得るよう努める。
- ③患者が未成年の場合、親(親権者)もしくは他の成年親族または代理人に説明し同意を得るように努める。また患者本人にも医療行為の理解が得られるよう発達段階に応じた説明を心掛ける。
患者に十分な理解力と意思決定能力を有していれば、本人に直接説明し同意を得てもよい。ただし、親(親権者)もしくは他の成年親族または代理人の同席が望ましい。その他①に準ずる。 - ④患者に意識障害、精神障害などで同意能力が無く、親族や代理人も同席していないが医療行為に緊急性がある場合は、とりあえず親族や代理人に電話などで説明し同意を得る。 事後に改めて詳しく経緯を説明すること。
- ⑤患者に同意能力が無く、連絡のつく親族や代理人もいない場合には、倫理的配慮に基づいて複数の医療者が協議し、最善と思われる医療行為を行う。またその旨をカルテに明記する。
Ⅲ 具体的な実施手順
1 説明の時期
- ①初診時
その時点で確定した内容(検査所見や予想される病名など)およびその後の方針などを説明し、同意を得る。 - ②治療方針がほぼ決定した時
治療方針を説明し同意を得る。病状の変化に応じて治療方針が変更になれば、その都度説明する。 - ③入院時
入院治療の必要性、入院後の治療計画などを説明する。入院診療計画書を作成し、7日以内に患者に交付する。入院の目的(治療方針)が大幅に変更になった場合や転科(≒治療方針の変更)した場合には、新たに入院診療計画書を作成し交付する。尚、ごく短期の入院で書類の作成・交付が間に合わなかった場合にはその旨カルテに明記するが、書類は完成させること。 - ④実施する手術・処置などの具体的な内容が決まった時
ほぼ上記カテゴリー3に該当すると思われ、口頭の説明に加えて個々に説明書を作成し、文書で同意を得る。説明書と同意書は医療者側と患者側の双方がそれぞれ保管する。 - ⑤退院時
退院可能となった理由やその後の方針についてわかりやすく説明し、患者側が納得して退院となるよう努める。
2 説明の場所
外来診察室、病棟のカンファレンス室などプライバシーの守られる場所で行うよう努める。
3 説明の担当者
原則として、その医療行為を実際に行う医療者が説明を担当する。それだけでは十分な理解が得られにくい場合には、必要に応じて上席者が同席するかもしくは改めて面談を設定し追加の説明をする。 実施する医療者に何らかの都合があり直接説明出来ない場合には、代理人が説明することもやむを得ないが、説明した内容は必ず実施者にも伝える。
4 説明の同席者
患者側は親、兄弟、子、成年親族あるいは代理人など第三者の同席が望ましい。同席者は患者本人の信頼があり、同席に同意すれば原則誰でもよい。 一方、医療者側もできるだけ同席者(看護師など)を設けるよう努める。
5 説明の内容
- (1)予定する医療行為の種類や具体的名称
- (2)現在考えられている病名、病状および今後の予想
- (3)(1)で示した医療行為の実施予定日時や時間。未定の場合はその旨を、また、日時が決定したら速やかに追加説明を加えること。
- (4)(1)で示した医療行為の具体的内容、必要性、得られる効果や結果など。
- (5)(1)で示した医療行為により予想される合併症や危険性。
- (6)(1)で示した医療行為に代わる方法の有無。ある場合にはその内容。
- (7)(6)で示した方法によって得られる効果およびその程度の差。また(1)で示した方法と比較した場合の利点と欠点。
- (8)医療行為を実施しなかった場合に予想される結果。
- (9)(1)で示した医療行為を受けるにあたって、患者側要望の有無。あればその具体的内容。
- (10)その他。(1)~(9)以外の内容で、患者側に伝えたほうがよいことなど。たとえば(1)で示した医療行為で得られる効果や結果に影響をおよぼす可能性がある患者側の要因・問題点(高齢、肥満、糖尿病、低栄養、喫煙歴、併存症など)。
- (11)最終的な決定権は患者側にあること。たとえ同意しなかったとしても不利益を被ることはないこと。同意はいつ撤回してもよいこと。セカンドオピニオンを希望することができること。
6 セカンドオピニオン
セカンドオピニオンとは現在の自分の病状や治療方針について他の医師の意見を求めることをいう。十分な説明と同意(インフォームド・コンセント)に加え、よりより治療法を患者自身が選択できるように、当院ではセカンドオピニオンを推奨する。
7 手続き上の注意点
- ①患者側の理解度が上がるように、説明の際には専門用語の使用はできるだけ避け、平易な言葉で説明するよう努める。また図や模型を用いることも推奨される。説明文書を渡す場合には、必ず口頭でも説明し重要な部分には下線を引いて強調することなどを加える。
- ②患者側に意思決定までの十分な時間を与えるよう配慮し、必要に応じて一旦書類を預け、改めて同意書を提出してもらう事を検討する。
- ③家族が本人へは告知せず家族のみへの説明を求めた場合には、患者の病状などは患者本人の個人データであり、それを第三者に提供する時には原則として本人の同意が必要であることを説明し、あらかじめ本人の同意を得るよう説得する。 一方、本人または家族等の生命、身体または財産の保護のために必要であると判断される場合であれば、本人の同意が無くとも家族等へ説明することは可能である(個人情報保護法第23条第1項第2号に該当)。
医療機能評価
第三者評価を受けることの意味
病院は、医療・介護サービスの提供の場であり、患者・利用者から選ばれる病院になるためには、常に医療・介護サービスの質の向上が求められます。従って、この「質の向上」を維持していく手段として、第三者機関による、公平かつ専門的な立場から評価を受けることが重要と考えています。
医療機能評価とは
(財)日本医療機能評価機構が運営しており、全国で2026(2022年10月現在)以上の病院が認定を受けています。この認定は、機構が定めた評価項目に従って病院の医療機能評価を行い、医療サービスの質の維持・向上を審査するものです。病院に於いて、社会的な役割が大きい公平・中立な第三者機関です。
当病院が目指すもの
生活者としての視点で患者・利用者をサポートし、「その人らしく生きる権利を回復」 することを目指します。これを実践するために、患者・利用者を中心に心身をケアする「チーム医療」そして、院内情報の開示・提供により、医療プロセスの透明性を図る「顔の見える安心の医療」に取り組みます。また、「医療事故防止と質の高い医療・介護サービスの提供」のために、医療・介護サービスの継続的改善を行い、第三者機関の評価を積極的に取り入れます。
医療安全への取組
医療・介護に係る安全管理のための基本方針
福岡リハビリテーション病院は、質の高い安全な医療・介護を提供することを目的として、医療・介護の安全管理指針を下記のとおり策定する。
医療安全管理に関する基本的考え方
- 効果的な医療安全管理体制を構築し、組織全体で適切な医療・介護事故防止対策を展開する。
- 患者本位の医療・介護を第一と考え、患者・家族との良質な信頼関係を構築する。また、患者・家族と医療・介護従事者のパートナーシップを強化し、安全で質の高い医療・介護を提供する。
医療・介護に係る安全管理のための基本方針
- 医療・介護安全に関する事項を組織横断的に担う専門委員会として医療安全管理体制委員会をおく。医療安全管理活動の責任者として委員長を病院長、副委員長を医療安全管理者とする。
- 医療安全管理体制委員会は各部門部署の医療安全管理体制委員会委員で構成し、医療安全管理の現場責任者として実効ある活動を行う。
- 発生した医療・介護事故に適切に対応するため、医療安全管理体制委員会委員長は適切なメンバーを選出・招集し医療・介護事故の事実調査や再発防止について検討し、組織としての対応を示す。
報告等に基づく医療・介護に係る安全確保を目的とした改善方策に関する基本方針
- 医療・介護事故防止の具体的な要点を定める『医療安全管理体制委員会規程』を作成し、必要に応じて適宜修正を行う。
- 医療・介護事故及び医療・介護事故が発生する危険性のあった事例については、速やかに対応措置を講じるとともに、確実、迅速な報告を行うものとする。報告された医療・介護事故等については、事実関係を把握し、原因分析調査を行い、改善防止策を立て周知徹底する。改善策が有効に機能しているか点検・評価し、必要に応じて見直しを図るものとする。報告に関して、報告者に不利益処分を科さない等の環境整備に努める。また、報告書は個人の責任追及のためではなく病院システムを改善するためのものである事を周知する。
医療・介護に係る安全管理のための職員研修に関する基本方針
- 医療・介護事故防止に係る職員の意識改革と安全管理意識の高揚並びに医療・介護資質の向上を図るため、全職員を対象とした教育・研修を年2回以上実施する。
医療・介護事故発生時の対応に関する基本方針
- 第一に患者の生命及び健康と安全を最優先に考え行動する。
- 家族への連絡・説明は速やかに、主治医もしくは上長医師が事実を説明する。
- 事故の状況は経時記録を行い、事実のみを客観的かつ正確に記録する。また、事故の状況や説明内容、その時の家族の反応を詳細に記録する。
- 定められた報告ルートに則って病院長・品質管理責任者へ報告する。病院長は必要に応じて関係機関への報告・対応を行う。
- 事故が発生した場合は、速やかに事故原因の究明、今後の対応策を検討するため、医療安全管理体制委員会委員長は適切なメンバーを選出・招集し医療・介護事故の事実調査や再発防止について検討し、組織としての対応を示す。また必要に応じて、外部の専門家を加え客観的な判断を加えることに努める。詳細は、医療事故調査委員会規定及び、医療事故調査制度に係る指針に記載する。
患者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
- 本指針は福岡リハビリテーション病院ホームページに掲載すると共に、患者及びその家族から閲覧の求めがあった場合はこれに応じるものとする。
また、患者様相談窓口(入退院支援センター)を設置し、患者及びその家族からのご意見を医療安全管理に反映していく。
詳細は、患者サポート委員会規定に記載する。
医薬品の安全使用のための業務手順
第1 医薬品の採用・購入
- (1)医薬品の採用にあたっては、医薬品の安全性、取り間違い防止の観点から、下記を踏まえて決定する。
- a.一成分一品目を原則とし、採用医薬品は最低限の数とする。
- b.同種同効薬と比較検討を行う。
- c.類似した名称や外観を持つ薬の採用は、極力回避する。類似薬を採用しなければならない場合は、特に注意を喚起する。
- d.充填ミスを防止するため、原則として小包装薬を採用する。
- e.採用医薬品集情報を作成し院内の各部門・各職種へ提供する。
- f.発注の際は、商品名・剤形・規格単位・数量・包装単位・メーカー名を記入する。
- g.納品の際は、購入医薬品の品目・規格・数量が合致しているか、発注伝票に基づき検品する。尚、当該医薬品が本来の容器包装等に収められていること(医薬品に施された封の状態を確認し未開封であること,添付文書が同梱されていること等を含む。)を確認する。不審な点があった場合には医薬品の製造販売業者に確認を行う。
- h.「規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬、毒薬、劇薬)」および「特定生物由来製品(人の血液や組織に由来する原料を用いたもの)」は特に注意し、購入記録を保管する。麻薬、覚せい剤原料は、譲渡証の記載事項および押印を確認し、2年間保管する。
- i.購入先は、信頼のおける医薬品卸販売業者とする。
第2 医薬品の管理方法
- (1)医薬品の在庫管理や取り間違い防止のため、下記を実施する。
- 1.医薬品棚は、在庫点検や取り間違い防止に配慮して適切に配置する。
- 2.同一銘柄で複数規格がある医薬品や名称・外観類似薬は、注意を表記する。
- (2)医薬品の補充や充填時の取り間違いを防止するため、読み上げて複数で確認する。
- (3)「規制医薬品(麻薬、覚せい剤原料、向精神薬、毒薬、劇薬)」は、金庫に保管して常時施錠する等、盗難・紛失防止措置をとり、法令を遵守した使用記録を作成・保管する。
- (4)「特定生物由来製品(人の血液や組織に由来する原料を用いたもの)」は、カルテ番号、患者氏名、使用日、医薬品名
(規格、血液型を含む)、使用製造番号、使用量等、使用記録を作成し、20年間保存する。 - (5)処置薬の取り扱いは、次の点を遵守する。
- 1.調製(希釈)日、開封後期限、調整期限、開封日を容器等に記入する。
- (6)病棟への医薬品供給は、次の点を遵守する。
- 1.調剤薬は、原則として処方箋によりその都度供給する。
- 2.病棟への医薬品配置(SPDにて運用)は、必要最低限とする。配置薬を使用した場合は、処方箋に記載しその都度供給する。
- (7)特に安全管理が必要な医薬品(ハイリスク薬)の管理は,誰がみても認識できるように「注意喚起カード」で 区別する。
第3 投薬指示・調剤
- (1)薬剤服用歴の確認
- 投薬にあたって、薬剤服用歴(既往、副作用、アレルギー)を確認する。
- (2)入院時に持参してきた薬剤等の患者情報の収集
- 1.持参薬を含めた患者のすべての使用医薬品を確認する。
- 2.持参薬の確認は、入院時オリエンテーションで再度、確認し診療録への記録
- 3.ポリファーマシー(多剤併用処方)対策を含めた入院時の治療計画に反映する。
- (3)診療録・処方せんを正確に記入する。
- 1.診療録・処方せんには、必要事項(医薬品名、剤形、規格単位、分量、用法、用量等)を正確に記載する。
- 2.投薬誤りを防止するため、規格単位と記載方法は統一する。
- (4)調剤方法
- 1.調剤用設備・機器の保守点検を日常的に行い、使用にあたり、計量機のゼロ点調整、水平確認等を行う。
- 2.外観類似、名称類似、複数規格品に留意する。
- 3.ハイリスク薬については特に留意する。
- 4.調剤後に処方せんと調剤薬の照合を行う。
- (5)注射薬の調剤
- 1.調剤薬には、「患者ID、患者氏名、診療科名、医薬品名、単位、量、投与方法、投与時間、投与経路、投与速度、調剤者名、調剤日時等」を記載したラベルを貼り、処方箋とラベルを照合し、処方箋1使用単位ごとにトレイにわけて準備する。
- 2.調剤薬の病棟受け渡しは、処方箋によりその都度供給することを原則とする。
- 3.バイアル単位で供給されるヘパリン製剤等は、病棟用注射箋に力価に対する実際の量を記載する。特にインスリンバイアル製剤は、単位とmLの誤認により重大な有害事象に繋がる危険性が高いため、専用シリンジを使用する。
- (6)処方せんや調剤薬の鑑査方法
- 1.診療録・処方せんの記載内容を確認し、処方内容と誤りがないことを確認する。患者情報・薬歴に基づき、重複投与・投与禁忌・相互作用・アレルギー・副作用等に留意する。
- 2.診療録・処方せんの記載内容が判断しづらい場合は、無理に判断せず、処方医に疑義照会する。
- 3.処方医に照会した結果、処方内容に変更があった場合は、薬剤師は「照会者、回答者、照会内容、処方変更内容」を処方箋に記載する。
- (7)薬剤師不在時の時間外処方薬管理
- 1.看護部時間外処方管理手順書[看護(薬剤)-306]にて実施する
- 2.最終確認は、薬剤師が薬剤部時間外薬剤部入室・薬剤処方手順書[薬剤-020]にて確認する
第4 患者への与薬や服薬指導
- (1)下記の患者情報を把握した上で与薬する。
- 1.患者情報の収集・管理(十分な病歴聴取)
- 2.患者の他科受診、既往歴の有無
- 3.妊娠、授乳の有無 、副作用歴、アレルギー歴
- 4.小児、高齢者の年齢、体重
- 5.嗜好(たばこ、アルコール等)
- 6.診療録等への記録
- (2)患者情報は、与薬に係るすべての部門で把握できるようにする。
- (3)検査・処置における医薬品使用についても、緊急時以外は口頭指示をさける。口頭指示を行なわざるを得なかった場合も、記録を残す。
- (4)与薬にあたっては、下記を励行する。
- 1.患者氏名、生年月日を確認する。
- 2.患者の症状(前回投与と同じか等)を確認し、投薬内容に誤りがないか点検する。
- 3.薬剤の実物と薬剤情報提供文書を患者に示しながら説明する。
- (5)在宅患者への投与にあたっては、薬剤管理が困難な場合が多いことに考慮して、剤形・用法・調剤方法・服薬管理に工夫する。
- (6)抗がん剤の投与については、レジメン(投与薬剤、投与量、投与日数などの指示がまとめられた計画書)に基づいて調剤、投与する。
- (7)ハイリスク薬について、患者の薬歴管理を行なう 。
第5 医薬品の安全使用に係る情報の取り扱い(収集、提供)
- (1)患者情報の収集と処方医への情報提供を行う。
- (2)経過観察が必要な薬剤の投与にあたっては、投与後の経過観察を行う。
- (3)緊急時については、下記に沿って実施する。
- 1.副作用初期症状および相互作用等の確認
- 2.服用薬剤および医薬品との関連の確認(医薬品に関連する事故発生時の対応)
- 3.特定薬剤の血中濃度モニタリング実施
- 4.副作用等の発生した場合は、保健衛生上の危害の発生・拡大を防止するため必要があると認めるときは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器法)」第77条の3第2項及び第3項・「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器法)」第77条の4の2第2項に従い厚生労働大臣に対して報告する
- (4)自動車運転禁止の情報管理を行う。
- 1.該当薬品の確認、リスト作成
- 2.電子カルテに反映する
第6 他施設との連携および対応方法
- (1)患者に継続する薬物療法を安全に提供するために「お薬手帳」「薬剤添書」等を発行する。
「医薬品の安全使用のための業務手順」に基づく業務
- (1)医薬品安全管理責任者は、職員の業務が「医薬品の安全使用のための業務手順」に基づき行われているかどうか、定期的に確認し、記録する チェック項目:医薬品の採用・購入確認、規制医薬品の使用記録確認、特定生物由来製品の使用記録確認、病棟処置薬の開封日記載確認、調剤確認、医薬品の情報収集・管理・提供確認、医薬品安全使用のための研修の実施確認等 実施確認シート参照
- (2)実施確認が医薬品安全管理責任者により遂行されているか否かの確認を医療安全管理者が実施し「実施確認シート」に押印する
改善のための方策
- (1) 医薬品安全管理責任者は、病棟専任薬剤師を通じて下記の情報を積極的に収集し評価するとともに一元的に管理し、その結果を有効に活用されるようわかりやすく工夫した上で関係する医療従事者に「DI NEWS」、電子カルテ上のDI情報「MD View」等で速やかに周知する。
医薬品の投薬及び注射の状況(使用患者数、使用量、投与日数等を含む)
院内において発生した医薬品に係わる副作用、エラー、インシデント等の情報
医薬品医療機器総合機構、医薬品製造販売業者、卸売販売業者、学術誌医療機関外の医療従事者等外部から入手した医薬品の有効性、安全性、品質、ヒヤリハット、インシデント等の情報 - (2) 医薬品安全管理責任者は、医薬品安全性情報等(上記IからIIIに掲げるものをいう。以下同じ)のうち迅速な対応が必要となるものを把握した際には、電子カルテから処方医及び処方(投与)された患者を速やかに特定し必要な措置を迅速に講じる。
- (3) 医薬品安全管理責任者は、病棟専任薬剤師と必要に応じてカンファレンス等を行い、各病棟での問題点等の情報を共有するとともに、各病棟薬剤師に必要な医薬品情報を提供する。 医薬品安全管理責任者は、常に医薬品の安全に係わる情報を収集し「MD View」のデーターベース更新により、医療従事者が必要な時に医薬品安全性情報等を容易に入手できる体制を構築しておく。
- (4) 医薬品安全管理責任者は、新たに入手した医薬品安全性情報の重要度に応じて医療安全管理体制委員会、医療安全管理部会、薬事委員会等を迅速に開催し、関連する医療従事者に対し、確実に周知徹底を行う。
女性が働きやすい環境づくり
女性活躍推進法に基づく行動計画
当院では、職員の能力を発揮できるよう、働きやすい雇用環境の整備を行うため行動計画を策定しています。
女性活躍推進法に基づく報告
総職員数に対する女性 | 70% |
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R3年度雇用 女性 | 77% |
当院における女性役職者の割合 | 47% |
平均勤続年数 | 男性 9年5ヶ月 女性 8年0ヶ月 |
当院における取組
計画期間 | 平成31(2019)年4月1日~令和7(2025)年3月31日 |
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課題 | 有給休暇取得率が低い |
目標 | 法人全体の有給休暇取得率を50%以上にする |
取組 | 働き方改革関連法にて義務付けられた「年5日の有給休暇の確実な取得」及び5日を超える部分について、業務の都合に応じて有給休暇が付与できる場合には、計画的に付与することとする。 |
取組計画 |
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研究への情報提供について
医療倫理委員会
医療倫理委員会は、当法人の医の倫理に関することを審査する委員会として設置されています。 当法人で行われる医学系研究は、世界医師会が定めた「ヘルシンキ宣言」や国が定めた「人を対象とする生命科学、医学系研究に関する倫理指針」などを遵守しております。当院では、医学研究について、「倫理委員会」にて事前に審査を行い、病院長に許可された後に実施しております。
研究情報の公開について
医療倫理委員会は、当法人の医の倫理に関することを審査する委員会として設置されています。 当法人で行われる医学系研究は、世界医師会が定めた「ヘルシンキ宣言」や国が定めた「人を対象とする生命科学、医学系研究に関する倫理指針」などを遵守しております。当院では、医学研究について、「倫理委員会」にて事前に審査を行い、病院長に許可された後に実施しております。
関連リンク
相談窓口
相談窓口では、患者さんやご家族の方からの様々なご相談・ご意見をお受けし、ご相談内容に応じて、各関係部署と連携し解決へ向けご支援させていただきます。
詳しくは以下の資料をご確認ください。
セカンドオピニオン
当院は、治療中の患者さん、ご家族が当院の診療に関して、他の医療機関によるセカンドオピニオンを希望された場合にその実施を支援しています。
他の医療機関でご自身の病気に関する治療方法などのご相談を希望される方は、主治医まで遠慮なくお申し付けください。必要な診療データの提供をいたします。
また、そのことで以後の診療に不利益を被ることはありません。